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肛門嚢アポクリン腺癌

はじめに

肛門の左右(時計に例えれば4時と8時の位置)にある一対の袋を肛門嚢(腺)と呼び、この中に悪臭がする分泌物が入っています。
この分泌物は肛門嚢液あるいは肛門腺液などと呼ばれています。
肛門嚢アポクリン腺癌は名前の通り、この肛門嚢にある分泌腺、いわゆるアポクリン腺が腫瘍化してしまう病気です。

肛門嚢の役割

肛門嚢は、犬がマーキングする際などに分泌されます。
通常、ウンチをする時に肛門腺が圧迫されて、ウンチと共にこの分泌物が排泄されますが、中には生まれつきこの肛門腺が出にくいワンちゃんがいます。
この分泌物が溜まってくると破裂してしまい、炎症が起こることもありますので、定期的に絞ってあげることが重要です。

肛門嚢アポクリン腺癌について

犬の肛門嚢腺癌は,肛門嚢のアポクリン腺由来の悪性腫瘍です。悪性度が高く、完治が難しい癌になります。肛門周囲腫瘍の約15%を占め、早期からリンパ節への転移が生じやすく、初めて来院された時にはすでにリンパ節転移が認められていることも少なくありません。また,肺や腹腔内臓器への遠隔転移することもあります。

約半数の肛門嚢腺癌では原発部位および転移部位の腫瘍組織からPTHrP(上皮小体ホルモン関連ペプチド)の産生が認められ,これが原因で高カルシウム血症が問題となります。

※上皮正体とは副甲状腺とも呼ばれ、器官側面にある甲状腺の周囲に左右二組ずつある組織です。この上皮小体からは、パラソルモンというホルモンが分泌されており、体内のカルシウム濃度を調節しています。

肛門嚢腺癌の症状としては、しぶり、排便困難、血便、肛門周囲の腫瘤、高カルシウム血症による多飲多尿などがあり、この高カルシウム血症により、腎臓も悪くなることがあります。

治療としては外科手術による切除が第一に考えられます。
一方ですでに転移が認められる症例については放射線治療や抗がん剤治療を組み合わせ、治療を行います。

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